「お姉ちゃん」


「きゃああっ!?」


不意打ちに後ろから声を掛けられて、心臓が止まるくらいに驚いたあたしは、思わず野島を突き飛ばしてた。


……結果。


「いてっ!」


勢いよく飛んだ野島は後ろにあったテレビ台に盛大に頭をぶつけたし。


「お姉ちゃん……何やってんの?」


うう……茉莉花の氷点下より冷たい視線が痛いぃ……。


「あ~~何でもない、あたしと野島は手を握りあって体を寄せて見つめ合ったからって、本当に何もないんだから~~」


あたしは手をパタパタ振りながら慌てて言い訳したけども、地下迷宮が出来そうな位に墓穴を掘りまくってるのに気づかなかった。


「お姉ちゃん……手を握りしめて体を寄せ合って見つめてた……って。めっちゃ紛らわしいよ。
なんか聴いてるだけで恋人同士に聴こえるんだけどさ」


しみじみとした口調で茉莉花に言われ、茹で上がって湯気が立ち上りそうなほど顔が熱くなる。


「そ……そそそ……そんなこと言った?」


「言った。それよかさ」


茉莉花はチラリと横目であたしから視線を動かしたから、あたしもつられてそちらを見れば。