でもよく考えたら、うちは二階建てでもひと部屋に2人ずつ使ってるからぎゅうぎゅうなんだよね。
末っ子の香澄はお父さんやお母さんと寝るし、大紀兄さんと和也は同じ部屋で、おじいちゃんとおばあちゃんは同室だし、あたしは妹の茉莉花と同じ部屋。
部屋としては太郎兄さんが使ってた物置きと化したひと部屋だけ余ってるから、たぶんそこに野島を泊めるんだろうけど。
人が住む部屋としてはかなり使ってないから、掃除もしなきゃいけないし、整理整頓も必要じゃん。
もう! やっぱりお母さんに言って改めて断ってもらわないと。
だいたい野島を家に入れたのは汚れた服を洗って冷えた体を温めてもらうだけで、なにもこんな事までする必要なんか感じないし。
とにかく、あたしはお母さんを探して台所を覗いてみたけど。
「瑠璃香、ぼうっとしてる暇があるなら手伝ってよ! ほら、じゃがいもを洗って皮を剥いて」
のれんから顔を覗かせただけでバタバタと忙しなく動いてたお母さんに見つかり、用事を言いつけられたからあたしは不満げに口をとがらせる。



