くるうみ。~あなたと過ごした3日間~

それは、『くるうみ』が来るまでの3日間、辰美島で過ごす生徒オンリーのサバイバルイベント。


山潮町に伝わる龍神が通った漁民の娘との悲恋(?)民話をもとに、創立者が考え出したらしいんだけど。


くるうみが来る前の3日を学年を問わず男女ペアになった生徒がそれぞれ自力で過ごし、くるうみが来たら辰美島から内陸まで歩いて渡れば完了。


自力ってのはもちろん、文明の利器の出番は一切ナシ。


携帯電話やパソコンはもちろん、電池で使用出来るものは一切使用禁止。

余暇用の本や遊具も持ち込むのはNG。


むかしは本当に伝統を重視するためだったみたいだけど、今じゃ文明生活に慣れた子どもたちの鍛錬に、と目的が変わってきたのは当然かもしれない。


でも、一応はナイフと乾電池一本分の照明だけ許されてるのも時代の流れかもしれないな。


昔は身一つで島に置き去りにされたらしいから……。


あたしは野島の答えはさほど期待せず、自分の考えに夢中になってたら、彼からぽつりと言葉が発されて聞き逃した。


「え、ごめん。なんか言った?」


訊き返してみたけど、野島からは明確が答えはなく、あたしはそのまま忘れてどうでもよくなった。