「ほら、野島勇人! 頑張って!」
「あとちょっとだぞ!」
みんな勇人の様子がおかしいと気づいても、止めろとは言わない。
きっと勇人の気迫が伝わったんだ。
いちに、いちに、とかけ声を貰いながら……
勇人とあたしは山潮の海岸まで自力で歩き通した。
あたし達が着いた瞬間、雨の中にも関わらずみんなから大歓声と拍手が沸き上がり、あたしは泣きそうになりながら、
「良かった……勇人良かったね。渡れたじゃない! やっぱり勇人はすごいよ! これなら病気だって裸足で逃げてくって」
あたしは泣き笑いで勇人にそう言うと、彼は微かに笑って答えてくれた。
「……そうだな……奇跡は……起きるんだ。
瑠璃香……ありがとな。おまえに逢えて……よかっ……た……」
伸ばされた勇人の手は――
あたしに触れることなく力を失い、コトンと落ちた。
「勇人……?」
揺すって名前を呼んでみた。
だけど、閉じられた目は開かない。
口はあたしを呼ばない。
体が動かない。
「あとちょっとだぞ!」
みんな勇人の様子がおかしいと気づいても、止めろとは言わない。
きっと勇人の気迫が伝わったんだ。
いちに、いちに、とかけ声を貰いながら……
勇人とあたしは山潮の海岸まで自力で歩き通した。
あたし達が着いた瞬間、雨の中にも関わらずみんなから大歓声と拍手が沸き上がり、あたしは泣きそうになりながら、
「良かった……勇人良かったね。渡れたじゃない! やっぱり勇人はすごいよ! これなら病気だって裸足で逃げてくって」
あたしは泣き笑いで勇人にそう言うと、彼は微かに笑って答えてくれた。
「……そうだな……奇跡は……起きるんだ。
瑠璃香……ありがとな。おまえに逢えて……よかっ……た……」
伸ばされた勇人の手は――
あたしに触れることなく力を失い、コトンと落ちた。
「勇人……?」
揺すって名前を呼んでみた。
だけど、閉じられた目は開かない。
口はあたしを呼ばない。
体が動かない。



