「2歩先に突き出した岩があるから避けるよ。ほら、頑張って」


あたしがナビゲーションしながら勇人を支えて導いた。


一歩ごとに確実に勇人の体が冷えて力が抜け、呼吸も浅くなるのがわかっていても、あたしは勇人の気持ちを考えたら止められない。


あたしは涙を堪えながら一歩一歩確実に進む事を選んだ。


全参加者がとうに渡り終えて干潮が終わり海の水が満ちてきた時は、流石におかしく感じたらしい先生方が迎えにきて説得に当たったけど、勇人は頑として助力を拒んだ。


その代わりに
「俺たちを……見ていてください。絶対に着いて見せますから」
と勇人が言ったから、誰からともなく向こう岸から声援の声が聞こえ始めた。


最後には腰まで海に浸かっても、勇人は自分の足で歩こうと頑張った。