晩ご飯は勇人が穫ってきてくれた魚を丸焼きにしていただいた。


「くるうみも明日で終わりだな」


ポツリと勇人が言い、あたしは熱々の魚を頬張りながらそうだねと答えた。


「俺、本当に愉しかった。幸せだった……ありがとう、瑠璃香」


勇人がそう言ったのはあくまで自然な調子だったから、あたしもどう致しましてと答えた。


「あたしも幸せだったよ、ありがとう勇人。
だけどまだ気が早い! 明日も残ってんだから」


あたしが焼けた魚を突き出しながら言うと、勇人はそうだなと小さく笑ってそれを手に取った。


あたし達は、襲いくる運命とそれぞれ必死に戦ってたんだ。


微かな可能性を信じて見えない明日を切り開くために。


……本当に、最後まで頑張った。