「わたしが山潮を去る前の日、美代さんはくるうみや龍神伝承について話してくれた。
そして、いつかまた来た時にお話ししましょうと言ってくれたんだけど、美代さんが亡くなってそれはもう永遠に叶わなくなった。
だからかな、話に聴いた龍神伝承について纏めたくなって、ついでにひ孫の瑠璃ちゃんを見ようと山潮に来たけど、美代さんから聴いたもう一人の縁者である勇人クンもいたから、まさかと思ったけど、あなた達は美代さんの予言通りに惹かれあってたけどお互いに気付かなくて意地を張り合ってたから、もどかしくてちょっと手を貸したら上手く言ったみたいで良かった。
これで美代さんへの恩返しになったかしら」


美紀さん……


美紀さんも何もかも解っててあたし達を。


「ありがとう……」


あたしが泣きながらお礼を言うと、美紀さんはにっこり笑って「まだ泣くのは早いわよ」と背中を叩いてくれた。


「明日のくるうみで勇人クンと歩いてくる瑠璃ちゃんをバッチリ撮らしてもらうからね!」


美紀さんはそう言い残して勇人がくる前に去ったけど、あたしはその約束を何気なく聴いてきっと実現すると信じてたんだ。


盲目的なくらいに。