海から上がった後、肌や髪に付いた海水の塩分を放っておくとパリパリになるから淡水で洗い流した。


捕った魚やカキやカニを石焼きにしたけど、あたしと勇人は黙々と食べてただけでろくに言葉を交わさない。


その原因はわかってる。


あたしと勇人は今夜……ひとつになろうとしてるから。


あたしもドキドキして落ち着かないけど、勇人の尋常じゃない緊張ぶりになんだか話しかけるのも躊躇っちゃう。


ただ、勇人は事前にこう言ってくれた。


突然で何の準備もしてないから、もしも出来たらちゃんと責任を取るって。


責任というのは何かわかる。


その行為がどういうのか具体的にあたしは知らないけど、子どもができる事なんだって。


だから、勇人がそういう覚悟でいてくれるなら、あたしもそれなりの決意を固めてた。


もしもできたら、ちゃんと生んで育てるよ。


勇人との子どもだもん、むしろ早く欲しいかもしれない。


そっか、とあたしは自分の望みをひとつ理解した。


あたしは勇人との子どもなら早く欲しいかもしれない。


勇人をパパとかお父さんとか呼ばせたい。


血がつながった家族の幸せを味あわせてあげたいんだって。