頭上から光芒が降り注いで水面が揺らめく。
くっきりと照らし出された海の世界は想像以上に綺麗だった。
ピンクや黄色なんかの色鮮やかなウミウシの仲間。
イソギンチャクやクラゲやカニに海草、貝に魚にホヤ。ヒトデにウニにナマコ。
うわあ!
山潮の海の生命の多彩さに感動した。
山潮は昔から豊かな漁場だけど、海は透き通ってきれいだし、海底にヘドロなんかない。さらさらの土や砂が汚染されてない証拠。
都会だと便利さや快適さと引き換えに水も空も土も汚れて緑もなくなっちゃうって聴くし。
なら、あたしは山潮の方が断然いいや。
住めば都だし、勇人が居れば十分だもん。
あたしは今までになく開放的な気分で海の中を泳いだ。
すいすいと泳げる事がこんなに気持ちいいなんて!
あたしは前世魚だっかのかもね、なんて調子に乗って自画自賛してみたり。
息継ぎに一度海面から顔を出した時、勇人らしい後ろ姿を見たけどドキッとした。
勇人はいつの間にかシャツを脱いで上半身裸で、その日に焼けた逞しさに胸のドキドキが止まらなくなる。



