くるうみ。~あなたと過ごした3日間~

自分が偶然見つけた実がそんなに貴重なものかわかんないけど、勇人に言われるまま大きめの実を摘んでポケットに入れた。


「このサルナシの実はな、よく見てろよ」


勇人がナイフで小さな実をスパッと2つに切って、その断面を見せてもらったあたしは驚いた。


鮮やかな緑色に芯はクリーム色で黒い小さなタネがある。

まるっきりキウイフルーツそのものだったから。


「え~~! なんでなんでこんな場所でミニキウイフルーツがあるの!?」

「ちょっと食ってみろよ。毒はないし皮ごと食えるからそのままいけよ」


あたしはびっくりしてその実を眺めるだけじゃなく、勇人の勧めるままに口の中に放り込んでみた。


ちょっと酸味が強いけど、確かに味もキウイフルーツ。


不思議だし、ミラクルだし。


「すげーだろ? つっても俺の力じゃないけどな。
サルナシはマタタビ、あのネコが酔っ払うあれと同じ系統の植物でさ、キウイフルーツの原型さ。
中国にあったサルナシをニュージーランドで果樹化したのがキウイフルーツ。
だから、味も見た目も似てるんだよな。
サルナシの実は天然の果実の中じゃ1、2を争う美味さと言われてるんだ」