そうだ。
あたしの今の夢は、勇人との未来。
彼とともに生きてゆくこと。
龍神さまとか瑠璃さんとか、過去とか関係ない。
勇人の体を治すのを助けられたら……。
それなら医療系とか普通は思うけど、ハッキリ言ってあたしはバカで難しい勉強や手先の器用さが必要な職業には向いてない。
それに、何かあればすぐパニクっちゃうから冷静さに欠けてるし。
何かないかなあ……。
まあいいや、くるうみが終わるまでには考えておこう。
今は、勇人と過ごす時間を大切にしなきゃ。
16歳の夏は二度とないんだから、悔いの無いように過ごそう。
だから、いちいち意識してちゃダメ!
なるときはなるんだから、その時に考えて覚悟を決めればいいんだし。
なんて、けっこうスゴい事を考えたりもした。
「勇人、ほら! ちゃんと美紀さんに挨拶しなきゃ。あたし達はお世話になったんだから」
あたしはなるべく自然に勇人に接するように気をつけた。
あたしの勧めでやっと勇人も美紀さんに「ども」と言ってぺこりと頭を下げた。
あ~もう! 男の子ってなんでこんなに無愛想なのよ。



