港にはもうかなりの人数が集まってた。
だいたい落ち合う場所を決めてたのか、みんなすんなりパートナーを見つけて駆け寄る。
かくゆう亜美も短パンにシャツとサンダルとラフな格好の加藤先生を真っ先に見つけてた。
「それじゃ、瑠璃香。また後でね! 勇人クンと喧嘩しないようにね」
スキップしそうな弾んだ足取りで軽やかに走る亜美。
恋ってやっぱりスゴいんだなあ、なんて感心しちゃう。
あたしは……どうなんだろう?
勇人が好きなのは間違いないけど、それが異性としてなのか、それとも人間としてなのか。
もしかしたら、瑠璃さんと龍神さまの血縁で惹かれるだけなのか。
自分の気持ちがよくわからない。
だけど――。
だけどあたしは、数百人いる中からすぐに勇人を見つけられた。
声が聞こえなくても、大げさなリアクションがなくても、待ち合わせなくても、目印がなくても。
なんで解ったんだろう?
勘で、としか言えない。
なんとなくこっちかな、と思った方を見たら、もう勇人と目が合ったんだもん。
十メートルの人垣なんて何の障害もないみたいに。



