鈴本美代は曾おばあちゃんの本名だ。


そういえば、曾おばあちゃんは亡くなる前の年に半月だけ自分の田舎に帰ってたんだ。


でもまさか、勇人に会ってたなんて。


偶然だとしたらすごいけど、あたしはふと不安になった。


もしかして勇人が親切なのは、曾おばあちゃんに頼まれたから?

その恩から仕方なくあたしに付き合ってるの?


だから、一時それが嫌になってあたしを避けた?


不安が膨らんでどんどん暗い気持ちになると、勇人はあたしの手を離して突然腕を引っ張ったかと思うと。


あたしはいつの間にか、勇人の腕に抱きしめられてた。


「最初は興味本位だった。おばあちゃんの頼みもあったし……でもさ、俺、いつの間にかおまえを目で追ってて……いつの間にかおまえのことでいっぱいになってた。
自分でも怖いくらいでさ……。
だから離れようとしてみたけど、無理だった」


ぎゅうっと息苦しくなるほど抱きしめられて、あたしの胸が苦しくなる。

全身が勇人に集中する。