くるうみ。~あなたと過ごした3日間~

宮司さんは袴と単衣だけの質素なお姿で、大祭の時の平安貴族みたいな大仰な格好はしてない。


「本日はお忙しいなかをお時間をいただきましてありがとうございます」


美紀さんが丁寧に頭を下げたから、あたしも遅れてそれに倣う。


それにしても、正座は久しぶりだからチト辛い。

もう足の指先がジンジンしてきた。


「本日は龍神伝承についてのお話しでしたね?」


宮司さんの嗄れた声はなんか重みがあってありがたいな~って思うあたしは単純?

だってどう見ても齢60はとうに越したお爺ちゃん宮司さんだもん。長年生きただけの重さはあるかなって思う。


山潮はお年寄りを大切にして、人生の先達として敬うから、あたしもお年寄りは無条件で尊敬しちゃう。


長く生きたってことは、それだけいろいろあって悩み苦しみ苦労してきたはずだから。





「はい、龍神伝承についてとこの山潮の“くるうみ”についてです。
地元の方にもお話しを伺いましたが、皆さん口を揃えて『宮司さんならよう知りなさる』と仰いますから、是非ともお話しをうかがいたくなりまして」


そういえば、美紀さんはくるうみについても調べてたんだっけ。