神社にはお参りで拝殿にはよく立ち寄るけど、奥にある本殿に入るなんて初めての体験で緊張した。
畳敷きの床で待っていると、煌びやかな装具の横には灯籠が灯してあって、どことなく神聖で厳粛な雰囲気に気が引き締まる感じ。
それにしても、と奥にある龍の彫り物が気になった。
もしかしたらあれは……キミコおばちゃんが言ってた、龍神の流木の本体?
なんとなくだけど思い出したあたしは、よく見ようと目を凝らしている最中、浴衣の下にかけてる曾おばあちゃんのペンダントが温かくなっているのに気付いた。
トクン、と心臓が高く跳ねた。
また勇人があたしの手を握りしめてきたから。
龍神像から目を離して勇人の横顔を見ると、彼も龍神像を見ていた。
しかも、あたしより真剣な顔で、なんだか鬼気迫る感じがする。
灯籠の灯りの加減か、どことなく勇人の顔色が悪く見受けられた。
指先も少し冷えてる……。
「勇人、大丈夫だよ。あたしがいるから」
あたしはそう言ってキュッと手を握り返すと、勇人の顔は少しだけ和らいだみたい。
しばらく待った後に宮司さんがやって来た。



