「仲直りできたみたいで良かったわね」


にこやかに美紀さんに出迎えられて、もしかしてあたしの気持ちや焦りがバレてた?と冷や汗をかいた。


だけど、野島……勇人は繋いだ手をはなさなかった。


浴衣の袖で隠して見えないようにしてたけど、確かにあたしの手をぎゅっと握りしめてくれてた。


なんか、照れくさいな……。


勇人とこうして手を繋いでるなんて、もし誰かに見られてないとしても、恋人みたいでこそばゆい。


美紀さんに声をかけられても、恥ずかしいからあたしは何にも答えられない。


緊張から手のひらが汗ばんできたら、勇人の手に力が籠もった。


“大丈夫だ”。


無言でそう励まされた気がして、ちょっと勇気が湧いたあたしは顔を上げて美紀さんを見た。


「ええ、おかげさまで」


野島はそう答えると、さっきあたしが登り損ねた神社の階段に向かった。


今度は勇人もあたしの歩幅に合わせて歩いてくれる。


そして、階段に上がったら、あたしと繋いだ手を袖から出して美紀さんの前に晒した。


「瑠璃香、気をつけて昇れよ。ゆっくりでいいからな」


勇人は優しく声を掛けながら、あたしを引っ張ってくれる。