「……確かに俺は、鈴本瑠璃香と何の関係もない他人だ」
野島ははっきりとした声であたしの中にある複雑な想いにとどめを刺した。
……ああ、やっぱりそうなんだ。
野島とあたしどちらも好意を抱いていた、なんてあたしの勝手な思い込みで幻想に過ぎなかった。
野島はそんなあたしの甘い認識をシビアに指摘し、打ち砕いたに過ぎない。
野島の優しさや親しい態度から、あたしだけは彼の中でほんのちょっぴりでも特別に見られていたのかも……そんな自惚れもともに霧散してった。
野島 勇人と鈴本 瑠璃香は他人で、クラスメートで、居候と宿主の家族で。
それ以上の関係はあり得ない、野島本人の口からそうはっきりと肯定されたからには、何の可能性も残されてないということ。
どうしてか、あたしは明石先輩に振られた時よりも大きなショックを受けたんだと思う。
だって、先輩の時はまだ思考できる余裕があったけど、野島に他人と言われた今は何にも考えられない思考停止状態に陥ってしまったから。
頭が真っ白になってた。
たぶん、真冬に降ったドカ雪並みに真っ白に。
何もない純白の雪原みたいに。



