だから、あたしはそれを逆手に取ってやろうと考えた。


クラスメートも知らない顔とバラバラに出てく。

いつもあいつに纏わりつく軽井沢は、たぶん三年生の先輩女子に引きずられるようにして叫びながら出てった。


みんなが出て行く様をあたしは眺めて見送る。


知った顔でも嫌々ながらペアになった2人もいれば、初対面から友だちみたいに打ち解ける2人もいる。

いかにも面倒くさいといった感じの2人、緊張してぎごちない2人、初っぱなからケンカ中の2人、やけにハイテンションな2人……。


もしくはそれらが混じり合ったちぐはぐな2人。


あたしはどれになるんだろう?


あいつの態度次第な気がした。


なんであいつがあたしをシカトしてるのか知らないけど、ムカついて顔を合わせるのも嫌だけど、今日は特別な日なんだから、絶対絶対にこのお弁当を食べさせてみせるから。


人が少なくなってきた。


よし、と気合いを入れて入り口から顔だけ覗かせてみたら……いた。


でも、その姿を見た瞬間、なぜかトクンと心臓が跳ねる。



自分の席で本を読む野島勇人が着ていたものは、男性用の浴衣だったから。