吐きそうなくらいに胸が苦しくて、押しつけてるそれも気にならない。


野島は温かいや……


野島に体を寄せてると、気分の悪さも鎮まってきた。


あたしの背に回されていた野島の腕に、ゆっくりとだけど力が籠もってった。


抱きしめてる……?


まさか、それはあり得ないよ。


いくら人がいい野島でも、あたしになんて100%ないから。


ぐいっと抱き寄せられて、息苦しさを感じるほど抱きしめられたって、あたしになんて。


「鈴本……」


ため息に似た囁きで名前を呼ばれても、気のせい。


あたしたちはただのクラスメートで、同居人なだけなんだから。


うぬぼれちゃダメだよ。






水から上がったあたしはすぐ保健室に連れられてったけど、なぜか野島は着いてこない。


いいよ、あたしたちは何ともないんだから。


そう自分に言い聞かせたのに、なぜこんなにも悲しくなるのか、寂しくなるのか、胸が痛くなるのか。


自分でも解らなかった。


「野島勇人のバカ……バカ野島」