くるうみ。~あなたと過ごした3日間~

あたしがいろいろ悩んでるのに、バカ野島はあたしをからかってくるからかっとなって追いかけてやった。


「こら、バカ野島! いい年して子どもみたいなことばっかりするな!」


体操服の下は水着だから、濡れても構わないんだけど、やっぱり気分ってものがあるでしょ。


今のあたしは泳ぎたい気分じゃないから、野島の行動が余計に癇に障ったわけ。


だから、どうしても懲らしめてやろうって意地になった。


よく考えればろくに泳げないあたしが男子でもずば抜けたタイムを出すヤツに追いつくハズないんだけど、野島はなぜかゆったりと逃げてたから、あたしはそのうちに捕まえられた。


「こらあ! お、追いついたわよ!」


息を切らしながら何とかそれだけ言うと、野島は何を考えたのか、あたしの手首を掴むと唐突に水の中に潜った。


「ちょっ……きゃ!」


抗議する間もなくあたしも水の中に引き込まれたから、当然あたしは目を瞑るヒマなんかなくて、開けっ放しの瞳に水中の光景が見えた。


けど、それは不可思議な幻想的な景色。


人工のプールだから魚一匹いない筈なんだけど、野島がいた中で見えたのは。