……いやだ。
今のあたし、きっとイヤな顔してるよ。
先輩が他の女の子と話してても、こんな気持ちにはならなかったのに。
変……
あたし、絶対に変だ。
きっといろんなことがあってイラついたせいだよね?
そう自分自身を無理やり納得させようとした。
賑やかな授業風景は、まるでガラス越しに見てるみたい。
自分とは遠い別世界で起こってる出来事――
突然、ぼんやりした意識に冷たい刺激が割り込んできた。
「冷たい!」
思わず叫ぶと、プールの中で野島があたしを見てニヤニヤしてたし。
「鈴本、泳がねえのか? 別に女の子な事情じゃねえだろ」
うわ! 野島のバカは大声でデリカシーのないことを言いおったし!
「な……なに考えてんのよ、このバカ野島はああっ!」
もちろんあたしはすぐに立ち上がって、野島につかみかかった……ら。
ヤツはサッとよけおったから、あたしもバランスを崩して体操服ごとプールの中に真っ逆さまに落っこちたし。
も、最悪っ!
「あはは、鈴本濡れネズミだって」
野島は助けるどころか、あたしの姿を見て笑いやがりました!



