くるうみ。~あなたと過ごした3日間~

「野島、すげえよ!」


「選手決定だな!」


野島の周りに人が集まるのは今じゃあたりまえの光景になった。


たった半月前は口をきくのもイヤな顔をしていた人間が、口々に野島を誉めそやす。


実力があるとわかると、コロリと態度を変えるなんて。


なんか調子よすぎじゃない、とムカッときた。


女の子もそうだよ。


今まで見向きもしなくて対象外だったのに、野島がカッコいいって判った途端に群がるんだもん。


なんか、気に入らないかも。


……とは言え、あたしだって人のことは言えない。


野島と触れ合うまでは、やつを遠巻きに見て何もしようとしなかったし、自分から話しかけたりとしなくて。


誰かがどうにかしてくれる、と他力本願なことを考えてた。


これじゃあ同じ……


あたしは、野島を取り巻く女子に八つ当たりめいた感情を抱いてた。


……イライラする。


野島があたしよりカワイイ女の子達に囲まれて笑顔なのを見たら、チクチクと心が痛い。


なによ……


何なのよ、これは。


意味わかんない。


なんで……


なんでこんなにイライラするんだろ、あたしは。