くるうみ。~あなたと過ごした3日間~

加藤先生はそう言って男子担当の先生のところに向かったけど、あたしは亜美の表情を見逃さない。


亜美はずっと加藤先生の後ろ姿を目で追ってたけど、その瞳は切なくて温かい感情が浮かんでた。


……もしかして亜美って、加藤先生のことを?



ずいぶんと意外な話だった。


亜美は中学生の時に初恋をしたと打ち明けてくれたけど、相手は2学年上の先輩だった。


あの時のあたしたちは幼すぎて結局は告白もできずに終わってしまったけど、今度亜美が恋をしたら全力で応援しようと決めてた。


亜美はあたしを誰よりも理解して明石先輩の恋も応援してくれたから。


だけど、先生なんて。


ふつうなら許されない恋。


ただの憧れならいいんだけど、亜美の性格から考えたらたぶん本気だ。


……友達としてはつらくて悲しく苦しい、実らない恋だからあきらめろと諭すべき?



それとも応援すべきかな?


あたしは心が揺れたまま、プールサイドで座り込んでタイムが計られる様を見つめてた。


――と。


男子自由形100mのタイムを計ってた加藤先生が目を見開いた。


「おいおい……1分切ってるぞ。マジで1年のタイムか?」


加藤先生が目を向けた先には野島の姿があった。