くるうみ。~あなたと過ごした3日間~

「は? 寝ぼけてんのどっちよ?あたしがあんたに……じゃないの?」


あんなに痛みや熱を感じたのに、夢だなんてあり得ない。


けど、野島は更に言い募る。


「やっぱ鈴本夢でも見てたんじゃねえ? 俺にひざまくらしたならスカートにシワができるはずだろ?」


野島の指摘は確かにその通り。人の体を乗せたなら、その重みでスカートのひだが乱れるんだけど、それがなかった。


どういうこと?


あたしの白昼夢? それとも本当に夢だったの?


にしても、さっきまでの苦しみようがウソみたいに野島はピンピンしてるから、やっぱそうなのかなあ?


なんだか狐に摘まれた気分のあたしは、腕時計をチラッと見てちょうど五時間目が終わる時間だと気付く。


「ほれ、次は体育だろ。プールだから早く着替えないとな」


野島に促されて立ち上がったあたしは、手元にあった弁当箱がまだ殆ど手を着けてないのに気付いて野島に押し付けた。


「あんた責任持って処分してよね。
それから……あんたこの猫ちゃんにお弁当あげるなら……あたしがお弁当作ったげる! それならおかずを二人前にしてもお母さんにバレないでしょう」