くるうみ。~あなたと過ごした3日間~



どうしてそんな風に考えたのかわからない。


わからないけど、このまま野島が眠り続けては危ない嫌な予感がしたから。


この歌に捕らわれてしまえば、きっと帰れなくなる。


それが意識なのか命なのかまでは知らない。けど、少なくとも二度と目覚めなくなると直感したから、あたしは野島に必死に呼びかけ続けた。


野島、野島!


起きなさいよ……あんたにはまだ借りを返してないんだからっ!


勝手に堕ちたら許さないんだから!


そしたら針千本飲ませちゃるからね!


本気なんだから!


絶対絶対絶対に許さないから!


あんたは……あたしの――






輪ゴムで叩かれたみたいに鋭い痛みが頬を走って視界が戻った。


……と。


膝に寝てたハズの野島がいなくて顔を上げれば、すぐ目の前にヤツの顔があって、何やらニヤニヤと笑ってるし。


「野島、体は大丈夫なの?」


なんかムカッときたけど、急いで訊いてみたら、ヤツははあ?という顔を作る。


「体調? なにいってんだよ。寝ぼけてんのか鈴本?俺はずっとおまえにひざまくらしてたんだぜ?
鈴本って寝顔が面白いのな。歯ぎしりに寝言にいびきまですんだもんな」