くるうみ。~あなたと過ごした3日間~

膝は熱い……けど、野島の体に触れてみたらひんやりと冷たい。


どうなっちゃったのかな?


「野島、ねえ起きて」


このままじゃいけないかもしれないからあたしは野島の肩を揺すってみたけど、やつは起きない。


「う……くっ……」


なんだか野島は苦しげに唸ってるし、また具合が悪くなったら流石にあたしひとりじゃ手に負えないよ。


とにかく熱はどうかなって野島の額に手のひらをあててみたけど、額に指が触れた刹那――。


パシン、と鋭い痛みと痺れが走って、あたしの視界がまた白く覆われてった。








……歌。


ああ、またこの歌。


何度も聴いたからわかるけど、子守歌に聴こえる。


悲しい。


胸が締めつけられる哀切な調べ。


母親が子どもに歌ってあげているにしては、なぜこんなにも切なくなる声で歌うの?


あなたは誰ですか?


どうしてあたしにこの歌が聴こえるの?


野島にも聴こえるの?


なら……


帰ってきて。


深い眠りに墜ちてはだめ。


闇から抜け出せなくなる。


野島……勇人。


帰ってきて……


あたしが待ってるから。


あたしがいるから。


あなたは独りじゃないよ――。