くるうみ。~あなたと過ごした3日間~





午後の授業が始まるチャイムが鳴っても、野島は目を覚まさなかった。


あ~~、授業サボっちゃった。


あたしにとっては生まれて初めてだから、なんだか後ろめたい気持ちになったけど、だからって野島を見放していくなんてできっこない。


……まあいっか、苦手な数学だったし。


先生には後で保健室に行ったとか言い訳でもしておこうっと。


授業が始まったからか、風音と梢が揺れる音以外は何も聴こえない。


静かだなあ……。


物置小屋はろくに清掃もされてなくて埃っぽいけど、まあなんとか我慢できる範囲内。


湿気たカビ臭い空気はちょっと苦手だけど。


さわ、と風が吹いて頬を撫でた。


……ん、風?


隙間が酷いのかなあ、この小屋。


のんびりそう考えたあたしは、膝が異様に熱くなってきた事に気づく。


なんだろ? 野島の熱が上がったのかなあ。


そう考えて野島の顔を覗き込もうとしたら、ヤツの体が淡い光に包まれ始めてた。


青白いその揺らめく燐光は、野島体全体から発されるように見える。


それを見たあたしは思い出した。


間違いないよ……


雨の中で見たあの輝きと同じだ。


そして、キミコおばちゃんの龍神像も同じように光を纏ってた。


これはいったいどういうことなの?