わかんないよ……。


どうして野島はこんなにも苦しげなの?


でも、誰にも知らせるななんて……。


何か理由があるの?



わからないけど……


今あたしの心の中に浮かんだのは、野島を助けてあげたいという素直な気持ち。


もしかしたら、野島はずっとひとりで耐えてきたのかもしれない。


病気になっても頼れる人も相談できる人もいなくて……。



それを想った刹那――



あたしの胸が痛み、自然と涙がこぼれ落ちた。


そうだった……。


普段はふざけてて気付かなかったけど、野島は天涯孤独だった。


野島はここ一週間は取り囲まれちやほやされたけど、だからってすぐに気を許す相手ができる訳じゃない。


ずっと苦しみに耐えてきたんだ……。


あたしは座り直して両足を揃えると、有無をいわさずに野島の頭を抱えてそこに押しつけた。


ひざまくらなんて初めてやるから恥ずかしいけど、ほんの少しでも野島の苦しみが和らぐといいと祈った。


「……あたたかいな、鈴本は」


野島はそう言うと、少しは表情を和らげてそのまますうっと寝入った。


ホッとしたあたしは、野島が起きるまでトコトン付き合おうと腹を決めた。