野島の後をつけたあたしは尾行がバレて、今一緒に小屋の中にいるんだけど、なぜかヤツがあたしの手首をがっしりと掴んだ。


……黙りこくったままで、なんかいつもの野島と違う雰囲気。


気分が悪いかとあたしが訊いてもろくに返事もしなくて。


「ねえ……手が痛い。離してくれる?」


野島が何を考えてるのかわかんないけど、なんかこのままじゃいけない気がしたあたしは、掴まれた手を動かしてそう声をかけた。


何にせよ、なんか思い詰めてるふうにも取れたから、そんな顔は野島には似合わないよと違う話題を振ろうとしてみた。


「あ、ねえ。コロッケ美味しかった? 」


……結局食い物の話かいな!


あたしは自分で自分に虚しいツッコミを入れた。


でも、野島はまだ喋らない。


このままじゃ埒があかないわ。


仕方ない、この瑠璃香さまが特別大サービスをしてあげましょう!


あたしは体を動かして野島に向き直ると、やつの手に手を重ねて言ってみた。


「ねえ、何かあるんだったらあたしに言ってみなよ。話すだけでもすっきりするからさ。
そりゃ、解決する確約なんかできないけど、少なくとも内にため込むよかマシだって」