やだ、あたし……もしかしたらひとりぼっちなの!?


あたしは気付かなかったけど、あたしの体は海に流されて岸からどんどん離れていってた。

でも、視界に入るのは海ばかりだから、感覚が麻痺してとにかく泳ごうと努力したけど、しばらくしてやっと明石先輩と美紀さんの声が聴こえなくなった現実に気付く。


周りを見渡してみても、岩や岸が見えない。


うそ!

もしかしたら流されちゃったの、あたし!?


とにかく進まなきゃと焦ってもがくけど、水を吸って重くなった服が肌に纏わりついて動きを制約したし、疲れを倍加させた。


やだ! こんな場所で……助けて、先輩!


お父さん、お母さん!


必死に祈りながら涙を浮かべて波を掻いてると――。


ふわっと体が軽くなった。


「あ~あ、意地っ張り。素直に助けてくださいって言えばいいのにさ」


確かな力強さと安定感の腕に引き寄せられた、と感じて安堵のあまりあたしは涙を流したけど、相手が野島だと思い出した瞬間に憎まれ口がポロリと出た。


「よけいなお世話よ! あんたに助けてって言った覚えなんかないんだから、放っておいてよ」