「……なんでお前と帰らなきゃなんねー
んだよ」



ボソリ。


横から呻くように聞こえてきたそれに、
「こっちのセリフだ」と吐き捨てた。



あれから数時間。



海で遊びまくって疲れた俺らは、電車で
帰ってきた訳だけど。



俺と凌斗は家も近くて、必然的に帰り道
も同じ。



つまり一緒に帰る羽目になるわけで。



何が楽しくて、こいつと……。よりによ
って、凌斗なんかと。



憂鬱だ、と幾度めかのため息を吐いた時
、急に凌斗が呟くように。



「"氷の王子様"……だっけ、皐」



と言ってきたから、凌斗を見つめる。



すると凌斗もこっちを見ていて、視線が
ぶつかった。