……まさか。


「どこ行くの?」



まさか、まさか、まさか。

あたしの頭は。
疑問でいっぱいになる。


嫌な予感が。
胸の中に痛みを残しながら広がっていく。



「ねえ! 瑠樹亜! 美山さん!」


喉が裂けるくらい。
大きな声で二人を呼ぶ。


「どこに行くの!?
そっちには、何があるの!?」


土手を登って行く二人。


あたしも、草むらに、足を踏み入れる。

パキパキと、素足で枯れ木を踏んだ。


痛い。
冷たい。
痛い。

土の臭い。
草の臭い。


「待って!」


あたしはほとんど、草を掴むような形になって。

土手をよじ登る。


土手の上は。
きっと、線路だ。


あたしの視界の端に。
長く、黒い影が。

ものすごい早さで。
近付いている。



「瑠樹亜!
瑠樹亜は、生きて!」


美山さんが叫ぶ。

その叫びには。
全ての答えが出ていた。



「ひよと、生きてよ!」