「二谷さ、最近、F組の美山と仲良くね?」
「え? あ、うん、まあ」
美山さん?
山本の口から今度は突然そんな名前が出てきて、またびっくりしてしまう。
「お前ら、何か共通点あったっけ?」
……共通点って、そりゃあ……
瑠樹亜?
ちらり、と山本の表情を窺うと、とぼけたような顔をしてる。
こいつ、知ってて聞いてんのかな。
美山さんと二人で会うことなんてほとんどないし。
確信犯なんだろうな。
「共通点なんか、ないけど」
ああ。
後ろに聞こえてるかもしれない。
別に気にはしないだろうけど。
なんだかこっちが気を使ってしまう。
「そっか。
今度、俺も紹介してよ」
「は!?」
益々意味がわかんない。
「俺、美山さんと仲良くなりてえし」
「……は」
「お前ら、付き合ってねえんだろ?」
急に声のトーンを上げる。
新幹線の中はざわついていて、山本の声はそんなに響かないとは思うけど。
「え?」
「なあ、瑠樹亜」
山本が後ろの座席を振り返るから、あたしは顔面蒼白だ。
「……は?」
突然のことで、瑠樹亜も呆気に取られてる。
文庫本を開いたまま、背の高い山本を見上げていた。
「……ん、まあ、いいや」
反応がない瑠樹亜に溜め息を吐いて、山本は再び席に落ち着く。
な、な、なんなの、突然。
心臓に悪いんですけど。