PM9:33



さん、
にい、
いち、




ーーーどかーーんっ


花火が、咲いた。



「…くそ。」



引きとめられなかった。
美丘はアイツの元へと行ってしまった。



うわぁっていうため息のような、来客たちの歓声
キラキラしたオモチャを持って走り回る子供たち
出店の色々な香りとネオンとたくさんの声たちの中で


美丘の後姿だけが、世界から切り取られたようにクッキリ見える。

小さくなっていく背中は、手を伸ばしても届かない。





ーー蝶々、みたいだ。


ひらひら ゆらゆら


美丘が一歩踏み出すごとに揺れている、ピンク色の帯は


綺麗だけど決して捕まえることのできない、蝶々みたいだ。