PM9:33




美丘の瞳に、俺の表情が映っている。

美丘の瞳の中の俺は、どうしようもなく情けなくて、だけども真剣な表情をしていた。



「……?どうしたの?」

「あのさ、」



言ってしまえばいい。

好きだと言って、そのまま美丘を抱きしめてしまえばいい。


美丘のその華奢な肩を、俺は今すぐにでも抱きしめたい。
ずっと、そうしたかった。



「俺、美丘のことが…、」
「美丘!!!!!」



ーー花火の、カウントダウンが始まった。



「…っ、シュウくん!?」


ーーごう、


俺の声の何倍も大きい、アイツの声が俺の鼓膜を揺らして。既に美丘の瞳は俺じゃなくて、アイツの瞳を映していて。


美丘は、まるで俺の存在を忘れたかのようだった。



俺と2人の時は見せなかった、アイツを愛おしそうに見つめる美丘の横顔が、俺の視界で動いていく。



「遅いよ!」



ーーよん、


美丘は、次の瞬間にはアイツの元へと駆け出していて。
俺の手の中にあった美丘の浴衣の裾は、するするっと抜けていく。