PM9:33




美丘はもう一口、リンゴ飴を食べる。
口の中でそれが溶けたら、もう一口それを口に含む。


唇がどんどん紅に染まって。
美丘はもう一度チラッと、時計を見た。



PM9:17。
全然時計の針は進んでいない。



美丘は無意識なのか、何かを探すような目で辺りを一周一瞥した。
アイツはまだ来ない。



「…そっか。」



クラスメイトたちの声が、ぼんやりと耳に触れていく。



ーーこの花火大会の花火って、ひとつジンクスがあるんだよ。
ーーえ、なになに?
ーー女の子が浴衣を着て一緒に花火を見たカップルは、永遠に結ばれるんだって!



なんてことない女子たちの会話が、俺の心を少しだけ、揺すぶった。



美丘は心配そうに、どこか遠くを見ている。
時刻は、PM9:20。