PM9:33




「…七五三みたい。」

「うわっ、ひどーい。」



そう言ってケラケラ笑う美丘は、もう一口リンゴ飴をパリッと食べる。
リンゴ飴に口づけるたびに、紅くなっていく唇は色っぽいと思う。



「…アイツは来ねえの?」



ーー美丘が俺のものになればいいと、ずっと思っていた。


不自然なくらいに紅くなった唇も、華奢な肩も、強気な性格とは裏腹の甘ったるい声も。


全部が俺のものになればいいと、ずっと前から思っていた。



美丘の浴衣姿は、俺のためのものではない。



「んー、来るんじゃない?」



チラッと時計を見ながら、美丘はなんてことないように、はにかんだ。


今はPM9:16。


花火は九時半からだ。