美丘は、白い浴衣に濃いピンクの帯をつけていた。
浴衣には蝶々が飛んでいる模様が、鮮やかに華やかに描かれていて。
浴衣に合わせた蝶々のスリーピンは、真っ黒な先端だけの内巻きショートボブの髪によく似合っている。
ネコのようなクッキリした目に、スッととおった鼻。真っ白な肌と真っ白な浴衣は見事に調和していて。
美丘はびっくりするくらい、綺麗だった。
「…結局、浴衣着てきたんだ。」
なんてことないように、素っ気なく言い放った。
美丘の目を、俺は相変わらず直視できない。
浴衣なんか恥ずかしいから着ないって言っていたくせに。
着てきた理由を、俺はわかってる。
「まぁね、たまにはいいかな、って。」
「へぇー。」
「どう?似合う?」
やや吊り目な目をクシャクシャにしながら、美丘はわざとらしくクルリと回って見せた。
可愛いなんて、絶対に言ってやらない。