彼との出逢いは、4月、学内で開かれていた写真展だった。



学食横の展示スペースに飾られたたくさんの作品の中に、その写真はあった。
真っ青な空を背景に写された一本の枝。花びらを数枚だけ残して、天に向かって濃い緑を広げる葉桜の写真だった。



満開の桜ではなく、ほとんどが散ったあとを切り取ったその写真に何故か私は心を奪われ、次の講義へと急ぐ足を止め、しばし見入っていた。