オジサンが欲しい





瞬間、少女の微笑みは、おぞましい目論見笑に変わった。

眉が卑屈に歪み、唇の両端は三日月のように吊り上げられる。

その眼には、異常な欲が見え隠れしていた。


「整った容姿でありながら、努力の末に得た職を失い、終いには努力の源でもあった大切な母まで亡くした。

生きるのを諦めたような、細かな無精髭。
ぼさぼさに伸びた無造作ヘア。
しかしまったく荒れた様子のない白い肌。
そしてそれでも、生きることを諦めない、ぼんやりとした光のある眼……」


少女は寺尾の前に膝をつくと、横に寝転がされた寺尾の胸元を、そっと指先でなぞった。


「ひっ」


なめらかに指を這わされ、寺尾は思わず仰け反った。