「朔、準備出来たみたいだよ?」
下に行っていた衣緒はひょいっと顔を覗かせてそう言った。
一緒に行った影助は多分……メンツの奴等のバイクの点検してんのか?
「あいつもお人好しだなぁ」
成一は苦笑しながら煙草を揉み消して立ち上がった。
「どれ、そろそろ行きますか」
「ん、時間も7分前だしね」
千尋も頷きながら立ち上がった。
ちなみに、いつも持ち歩いてる愛様のパソコンはテーブルに置かれていた。
『……事故んないでよ?』
「誰に向かって言ってやがる」
ニヤリと口角を上げると、由薇も不敵に笑った。
下は、久しぶりの熱気に包まれていた。
由薇の事故とかで、夏休みもバラバラでしか行かなかった。
だから正式な暴走は今日が久しぶりで。
メンツの目は輝いていた。
「まぁーだ始まる前だっつぅの」
成一はカラカラと笑って、自分の赤いバイクに近寄っていった。
『朔のバイクは? どれ?』
「……あれ」
端に停めてある黒のバイクを指差す。
すると、由薇は目を見開いてパチパチと瞬かせた。
『……全員そうだけど、案外改造してないんだな』
「あぁ、弄んのは好きだけど自分のバイクにしてぇとは思わねぇ」
そう、あんまり改造で音を壊したくない。
バイクのそれぞれの音がある。
それが俺は好きだ。
だから改造もあまりしない。
……影響がないくらいのちょっとのことはするけどな。

