薄れゆく意識の淵でイザベラ皇女は思う――――この国を滅ぼして欲しかったと。
ずっと誰かに終止符を打って欲しかったイザベラ皇女。
“裏”を知り過ぎたせいでいつしか逃げられなくなってしまっていた。“表”に生きるキャロライン皇女を羨まなかった事はない。
花を咲かすキャロラインとは違い己は枯らすことしか出来ない。
冷たく哀しき生涯。
だが、やっと、終わる。
ゆったりと沈むイザベラ皇女。
やっと、終わるのだ。
この暗く息苦しい日々から。
皇女は目映い“皇女”にはなれぬとも“皇族”の血を引く誇りをしかと胸に刻んでいた。
皇族の過ちは皇族が――‥。
少し
“疲れた”
―――‥イザベラ皇女の身体はゆっくりと倒れた。



「お疲れ様です、イザベラ皇女。」



開いた瞼をソッと閉じるローガン。

そして彼もまた、鉛が胸を貫き、身体が沈むのを感じた。