何が起きたのか分からず、逃げ遅れ、血に染まりゆく広間に、ただ呆然とする“仮面”


そしてとうとう残ったのは仮面舞踏会主催者である大国の国王のみとなった。目の前の“仮面の君”を見て国王陛下は呂律が巧く回らずとも抗議する。



「な、何故こんな、

こんなことを仕出かす!

――――イザベラ!」



祖国の第一皇女の名を叫んだ国王。同時に“カラン”と音を立てて滑り落ちたのは蝶々の仮面。下から現れた素顔は無表情のイザベラ皇女だった。