窓の向こうには賑やかな城下町。キャロラインの言う“幸で満ちた国”がある。そしてふとイザベラの目に、荷台を押す老夫婦が映る。たった今老夫婦は国を出ようとしていた。平和ボケをした国民は次々と、この国を離れ行く。



「そうだ、それでいい。」



老夫婦を見ながら頷いたイザベラ。金色は去り行く人々を捕らえる。向こうにあるのは山、川、森、そして国境。早く、早く、早く、国境を渡るがいい。早く、早く、早く――――逃 げ ろ。