「わたくしは何か間違ったことをしているのか?
――いいえ。していないわ。税金はしぼれるだけ搾りとる。払えなければ、出ていくのみ。」



民が国を出る原因となったのはイザベラ皇女の、この考えのせいと言える。綺麗だと思った微笑みで毒を振り撒く姉君。こうも無惨に“悪”に成り下がる姉君にキャロライン皇女はゾッとした。



「お止め、ください。民は、民は、苦しんでおります。このままではいつか、この国は滅んでしまいます。国の活気は失われ、木々は枯れ、水は濁り、花は散り、今ある優美な国は、亡びます。」

「――‥ふふ。滅び行くのもまた、運命と言えるわ。」



何ら動じることなくサラッと言うイザベラ皇女にキャロライン皇女は金色に涙を溜める。祖国愛の強い皇女だからこそ、イザベラ皇女を理解出来なかった。