幸せ絶頂期の第二皇女様には一つ気掛かりなことがあった。それは自身の姉君――――第二皇女様のことだ。聡明で知将な姉君を尊敬するとともに不安、そして怒りを抱えていた。


姉君の民衆に対する接し方や権力の振り翳し方。それは“皇族”としては相応しくないとキャロラインは思った。次期王権をこのまま姉君に引き渡した後の、この国の行く末がキャロラインは“皇女”として不安になった。


多くの民を、この国を、愛する“皇女”だからこそキャロラインは姉君の体裁に気を揉んだ。


姉君―――大国第二皇女様。青き髪に金色の瞳。容姿に魅了されど皇女様の冷酷さの前では恍惚さは奪われる。人々は畏縮し、人々に嫌煙されし、悪名高い皇女様。名をイザベラ( Isabella )と申す。