「ああ、そうだったわ。」



コバルト・ガラスのドレス。ふわりと裾を翻した皇女様だが、ふと思い出したローガンを見遣る。


先ほどの鋭さは無く、見られるのは目尻の下がった柔らかさ。しかしそれは心地良いものではなく、ただの嗤笑。バカにしてるのだ、愚かだと罵ってるのだ、加担した“中将”を、



「―――貴方の働きに、感謝致す。よくやったわ、ローガン」



ゆっくりと上がった口角を見た中将は腰を折る。



「有り難き、幸せ。」



宮殿の一角。


ここに“裏切り者”と呼ばれし愚行を働いた者がいた。掌で“駒”を操るのは“悪の皇女様”