「武器庫は立ち入り禁止と言ったはずですが?」

「誰に物を申しておる。安心しなさい、既に許可はとってあるわ。」

「ほう。誰にでしょうか?」

「わたくしよ。わたくしが“良い”と言ったのだから、可となる。ただ、それだけのこと。」



どこまでも我が道を行くイザベラ皇女。そんなことだろうと思っていたローガンは、呆れながらも武器庫に足を踏み入れる。



「あまり弄ると怪我を致します。」

「ふふふ。弄って危険な物を貯蓄しているのはどこの誰なのかしら?わたくしの心配をする暇があるなら、貴方は貴方のすべきことなさい。」



己を蛙と呼ぶのなら、イザベラ皇女の鋭くなった目は正に蛇そのもの。瞳だけでこうも人を威圧し、畏縮させるイザベラは正真正銘、生粋の皇族だとローガンは思った。長年、宮中に仕えてきたからこそ瞳の奥深くに潜む決意を知ることが出来た。


高貴で自尊心を持ち皇族の誇りを持っているからこそ皇女様は――――――‥