青い髪から覗く鋭い金色の瞳と目が合った兵士は悲鳴を上げた。そして許しを乞う。それを目にしたイザベラ皇女はカツカツとヒールを鳴らして兵士に歩み寄る。



「皇女様!も、申し訳ございません!申し訳ございません!申し訳ございません!」

「……」

「え、」



足蹴にされる覚悟で焔色の絨毯の敷かれた床に額を付けていた兵士は、真横を通り過ぎたイザベラ皇女に呆然とする。


見逃した、と解釈してもいいのか。それすらも分からず兵士は膝を床に付けたままイザベラ皇女の背を見送る。イザベラ皇女は易々と見逃してくれるほど甘くはない。罪人だろうが善人だろうが、我が身に歯向かうものは、
と言う概念を御持ちなのだ。