『一刻も早く暗殺者を捕らえよ!見す見す逃すとは何事か!我が国の紋章と聞いておる!信用を取り戻すべく暗殺者とその首領を洗い浚い調べ上げるのだ、ミモザ!』

『御意。』

『全く、何と言う事だ!祖国から裏切り者が出るなどあってはならん!況してや同盟国の姫君であられるぞ!?それを――‥!』



思いもよらぬ悲報に国王陛下は愚痴を零す。赤き外套を翻し、半歩後ろに立つミモザを引き連れて国王陛下は広間を去って行く。


それを見たイザベラ皇女をクスクスと微笑する。一見は優雅に微笑んでるように見えるが、蓋を開ければ不気味以外の何ものでもなかった。



「ふふふ。隣国の姫なんて邪魔なだけ。王子は全てわたくしのもの。そこの貴方もそう思うでしょう?」



誰に言ったのか。そしてイザベラ皇女は後頭部に目でも付いているのか。一連の広間の光景に鉢合わせしイザベラ皇女の姿を目撃してしまった一介の兵士は硬直した。